「完璧に片付けなきゃ」を手放す。ズボラのための「ここだけ」片付け術
片付けられないのは「ズボラ」だからではないかもしれません
「部屋をきれいにしたいけれど、どうも片付けが続かない」 「一度始めても、すぐに元の状態に戻ってしまう」
もしあなたがそう感じているなら、それはあなたが特別にズボラだからというわけではないかもしれません。もしかしたら、「完璧に片付けなければならない」という思い込みが、片付けのハードルを上げてしまっているのかもしれません。
この記事では、そんな「完璧主義」を手放し、ズボラさんでも無理なく続けられる「ここだけ」片付けの考え方と具体的な方法をご紹介します。
なぜ「完璧な片付け」は続かないのか
私たちの多くは、「片付けるなら徹底的に」「どうせやるなら完璧に」と考えがちです。部屋全体を隅々まで片付け、不要なものをすべて処分し、収納を整える...そう想像しただけで、気が遠くなってしまう方もいるのではないでしょうか。
完璧を目指す片付けは、確かに一時的には大きな効果をもたらします。しかし、それには膨大な時間、労力、精神的なエネルギーが必要です。特に忙しい毎日を送る中で、そのエネルギーを継続的に投入し続けることは至難の業です。
- 始めるまでのハードルが高い: 「大がかりな片付け」を想像すると、なかなか最初の一歩が踏み出せません。
- 疲れてしまう: 一度にたくさんの作業をこなそうとすると、心身ともに疲弊し、途中で挫折してしまいます。
- 維持が困難: 完璧な状態を維持するには、その後のこまめな手入れが不可欠ですが、これもまた負担になりがちです。
こうした理由から、「完璧を目指す片付け」は、ズボラさんにとっては継続が難しいアプローチと言えるでしょう。
解決策は「完璧」を手放し「ここだけ」に焦点を当てること
では、どうすれば片付けを続けられるようになるのでしょうか。その鍵は、「完璧」を目指すのをやめ、「ここだけ」に焦点を当てることです。
「ここだけ」片付けとは、部屋全体ではなく、ごく限られた小さなスペースだけを片付ける方法です。例えば、机の上の一角、引き出しの一つ、床の一部、バッグの中など、ほんの少しの範囲だけを対象にします。
この方法の利点は、以下の通りです。
- ハードルが劇的に下がる: 「部屋全体」ではなく「ここだけ」なら、「よし、やってみようかな」と気軽に始めやすくなります。
- 短時間で終わる: 小さな範囲なので、数分から十数分程度で片付けが完了します。忙しい合間にも取り組みやすいです。
- すぐに効果を実感できる: 片付けた「ここだけ」がきれいになることで、達成感や満足感を得られます。これが次のモチベーションにつながります。
- 失敗してもダメージが少ない: たとえ「ここだけ」がすぐに散らかってしまっても、「まあ、次またやればいいか」と気軽に考えられます。「部屋全体が元通りに...」という絶望感を味わうことがありません。
「ここだけ」片付けの具体的な始め方
では、実際に「ここだけ」片付けを始めるための具体的なステップを見ていきましょう。
ステップ1:片付ける「ここだけ」を決める
まずは、どこを片付けるかを決めます。最初は特にハードルの低い場所を選びましょう。例えば、
- ダイニングテーブルやデスクの上の一部
- よく使う引き出しの一つ(例:ペンや書類の引き出し)
- バッグの中や財布の中
- 玄関の靴を一足だけしまう場所
- 床に置かれている物の中から、目についた3つだけ
などです。「ここなら5分でできそうかな」と感じる場所から始めてみてください。
ステップ2:時間を決める(例:5分だけ)
次に、片付けにかける時間を決めます。最初は短時間のタイマーを設定するのがおすすめです。例えば「5分だけ」と決めます。
5分でも集中して行えば、選んだ「ここだけ」をある程度きれいにすることができます。時間が来たら、途中でも作業を中断して構いません。「ここまでできた」という達成感を意識することが大切です。
ステップ3:片付けの終わりを決める
完璧を目指さないのが「ここだけ」片付けの重要なポイントです。どこまでやったら終わりにするかの基準を、低く設定しておきましょう。
例えば、
- 「ここにある物を、それぞれ元の場所に戻す」
- 「この範囲にある不要なものを1つだけ捨てる」
- 「この場所の埃をさっと拭く」
- 「表面に出ている物を見えないところにしまう」
など、些細なことでも構いません。この「終わり」が明確だと、作業に取り掛かりやすくなります。
ステップ4:タイマーが鳴るまで集中して片付ける
場所と時間、終わりが決まったら、実際に片付けを開始します。タイマーをセットし、鳴るまで作業に集中します。
この際、「これはどこに置こう?」「もっと良い収納方法はないかな?」などと考えすぎないのがコツです。まずは物をどかしたり、目についた不要なものを処分したりする、単純な作業に集中しましょう。
ステップ5:終了!できた自分を褒める
タイマーが鳴ったら作業終了です。設定した時間が来る前に終わっても構いません。片付けた「ここだけ」を見て、自分がどれだけできたかを確認しましょう。
そして、忘れずに「たった5分だけど、これだけできた!すごい!」と自分を褒めてください。小さな成功体験を積み重ねることが、モチベーション維持につながります。
「ここだけ」片付けを習慣化するヒント
「ここだけ」片付けは、一度きりではなく、継続することで効果を発揮します。習慣化するためのヒントをご紹介します。
- タイミングを決める: 例えば「朝起きてすぐ」「帰宅して着替える前」「寝る前」など、決まったタイミングで行うようにします。
- 他の習慣と紐づける: 「歯磨きが終わったら、洗面台の鏡を拭く」「コーヒーを入れている間に、テーブルの上を整える」のように、すでに習慣になっている行動とセットで行うと忘れにくいです。
- 記録をつける(任意): カレンダーにシールを貼ったり、スマホのリマインダー機能を使ったりして、できた日を記録するのも達成感につながります。
- 完璧を目指さないことを徹底する: たとえ数日できなかったり、決めた「ここだけ」以外が散らかっていても、自分を責めないでください。「まあいいか、また明日(または今から)やろう」と軽く受け流すことが大切です。
小さな一歩が、大きな変化を生む
「ここだけ」片付けは、劇的に部屋が変わる魔法のような方法ではありません。しかし、毎日少しずつ、無理のない範囲で続けることで、片付けに対する心理的な抵抗が減り、部屋の「散らかり」を未然に防ぐ力が少しずつ身についていきます。
完璧な部屋を目指す必要はありません。まずはあなたが「ここだけならできそう」と思える場所から、たった数分でも構いませんので、今日の「ここだけ」片付けを始めてみませんか。小さな一歩が、きっとあなたの部屋と心に、良い変化をもたらしてくれるはずです。