『片付けが苦手』なズボラさんへ。習慣が続く『ハードルゼロ』の始め方
片付けが苦手でも大丈夫。ゼロから始める「散らからない」部屋への第一歩
「片付けなきゃ」と思っても、なかなか重い腰が上がらない。頑張って片付けても、すぐに元通りに散らかってしまう。
都内で一人暮らしをする20代後半の会社員、田中健太さんのように、忙しい日々の中で片付けは後回しになりがちで、いつの間にか部屋が物で溢れてしまう、という方は少なくありません。
もしあなたが「自分は片付けが苦手」「ズボラだから続かない」と感じているなら、それはあなたのせいではありません。実は、多くの人が「片付け」を、完璧にやり遂げるべき「特別なイベント」として捉えすぎてしまっていることが、その原因かもしれません。
このコラムでは、片付けのハードルを限りなくゼロに近づけ、無理なく、そして自然に「散らからない部屋」を維持できる習慣の始め方をご紹介します。完璧を目指すのではなく、小さく、そして確実に変化を生み出すための「ハードルゼロ」アプローチです。
片付けが続かないのは「頑張りすぎ」が原因かもしれません
片付けが続かない最大の原因は、「頑張りすぎること」にある場合があります。
- 「一度に全部片付けないと意味がない」
- 「きれいに収納できないとダメだ」
- 「物を完璧に捨てきれないとダメだ」
このような完璧主義的な思考は、片付けを始める前から私たちに大きなプレッシャーを与え、結果として行動を阻んでしまいます。やる前から「どうせ無理だ」と諦めてしまったり、少し散らかっただけで「もうダメだ」と挫折してしまったりすることが起こりがちです。
私たちが目指すのは、一度だけ頑張って完璧にする片付けではなく、日々の生活の中で自然に、そして無理なく継続できる「散らからない状態」を維持する習慣です。そのためには、まず片付けに対する考え方を変え、心理的なハードルを極限まで下げることが重要です。
ハードルをゼロにする「片付け準備運動」
実際に片付けを始める前に、まずは心構えから変えてみましょう。これらは、片付けの「重い腰」を軽くするための、大切な準備運動です。
1. 完璧な部屋は目指さない
部屋を「モデルルームのように完璧にする」という目標は、かえってモチベーションを下げる原因となります。まずは「床に物が置かれていない」「必要なものがすぐ見つかる」といった、現実的で達成可能な状態を目指しましょう。散らからない部屋とは、完璧に整頓された部屋ではなく、「散らかりにくい仕組みができている部屋」です。
2. 物の「定位置」をゆるく決める
部屋が散らかる大きな理由の一つは、物の「帰る場所」が決まっていないことです。しかし、厳密な定位置を決めるのは面倒に感じるかもしれません。まずは「このジャンルの物はだいたいここ」という、おおまかな「ゆるい定位置」を設定してみてください。例えば「書類はとりあえずこのボックスへ」「充電器はこの引き出し」といった具合です。これで物の迷子を減らし、片付けの判断時間を短縮できます。
3. 「たった1つ」から始める
「どこから手をつけていいか分からない」という時は、「今、目の前にある一番気になる物、たった1つ」から手をつけてみてください。例えば、デスクの上のペン1本、ソファに置きっぱなしの雑誌1冊などです。この「たった1つ」を片付けることで、小さな達成感が得られ、次の行動へのエネルギーになります。
ズボラでも続く!「ハードルゼロ」片付け習慣レシピ
ここからは、日々の生活に自然と溶け込み、意識せずとも片付けが進む「ハードルゼロ」の具体的な習慣をご紹介します。
1. 帰宅後「カバンの中身を出すだけ」習慣
家に帰ったら、カバンをリビングの床に置きっぱなし、という方もいるかもしれません。これを「カバンの中身を出すだけ」に習慣化します。鍵や財布、携帯電話、ゴミなど、カバンから取り出すべきものを定位置に戻す、あるいはゴミ箱に捨てる。これだけでカバンの中がリセットされ、翌日の出発がスムーズになります。カバン自体は、決めた場所に吊るすか置くだけで十分です。
2. 「何かを待つ間」のワンアクション習慣
電子レンジを温めている間、歯磨きをしている間、SNSのタイムラインを眺めている間など、日々の生活には「ちょっとした待ち時間」が意外と多く存在します。この短い時間を利用して、目の前の「たった1つ」を片付けてみてください。例えば、電子レンジの待ち時間にテーブルの上のコップをキッチンに持っていく、歯磨き中に洗面台の拭き掃除をする、といった具合です。まとまった時間ではなく、隙間時間を活用することで、片付けを「意識しない」行動に変えられます。
3. 「寝る前1カ所」リセット習慣
寝る前に、部屋の中の「特定の1カ所」だけをサッと片付ける習慣です。例えば、リビングテーブルの上、ベッドサイド、玄関の靴箱など、自分が一番気になる場所を1カ所に絞ります。完璧に整える必要はありません。散らばっている物を定位置に戻す、ゴミを捨てる、といった簡単なアクションだけでOKです。この習慣を続けることで、翌朝気持ちよく一日を始められます。
「習慣化」を後押しするゆるいコツ
せっかく始めたハードルゼロの習慣も、長続きしなければ意味がありません。継続を後押しするための「ゆるいコツ」をいくつかご紹介します。
自分を褒める「できた!」記録
片付けたことを意識的に「できた!」と記録してみましょう。例えば、スマホのメモアプリに日付と「リビングテーブル片付けた」と一言書くだけで構いません。些細なことでも、自分が行動した事実を記録し、客観的に確認することで、達成感を感じ、次へのモチベーションにつながります。
「やらない日」もOKと割り切る
毎日完璧に続ける必要はありません。忙しい日、疲れている日、どうしてもやる気が出ない日は「今日はやらない」と割り切っても大丈夫です。完璧主義を手放し、「やらない日があってもまた明日から再開すれば良い」と考えることで、精神的な負担が減り、結果的に長く続けられるようになります。
まとめ:ゼロから始める「散らからない」部屋への第一歩
片付けは「苦手」「面倒」と感じるかもしれませんが、それは「頑張りすぎ」が原因であるかもしれません。完璧を目指さず、心理的なハードルを限りなくゼロに近づけることで、誰でも無理なく片付け習慣を身につけることが可能です。
「完璧な部屋」ではなく「散らかりにくい部屋」を目指し、まずは「たった1つ」から、そして「ゆるい定位置」や「隙間時間」を活用して、日々の生活の中に片付けを自然と溶け込ませてみてください。
焦らず、できることから少しずつ。小さな成功体験を積み重ねることで、あなたの部屋は確実に変わり始め、やがては「散らからない部屋」が当たり前になるでしょう。今日から、あなたも「ハードルゼロ」の片付け習慣を始めてみませんか。